ICTの変遷(上) モバイルデバイスの時代へ


 月21日、米アップルのスマートフォン「iPhone(アイフォーン)5」が発売された。販売店には前日から列ができ、ソフトバンクへの初回入荷分は、発売前の予約のみで完売するなど市場の注目度は高い。



 人気商品の新しいバージョンの発売日に列ができるという現象は、同じアップルのiPad(アイパッド)や人気ゲームソフトなど、IT関連の分野ではよく見られるようになってきた。この現象の起源は、1995年11月23日のマイクロソフトの新OS(基本ソフト)である「Windows 95日本語版」の「午前0時販売開始」にさかのぼる。

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「iPhone5」。県内でも発売初日は予約で客足がとぎれることがなかった

=9月14日、佐賀市新栄西のauショップ西佐賀

 通常は営業をしていない深夜ではあったが、パソコン製造やソフトウエア開発、周辺機器開発、量販店、パソコン関連メディア、ソフト・ハード流通など業界全体が、この新しいOSを消費拡大の格好の機会と捉え、お祭りムードで盛り上げる強い意志を持っていた。これ以降、パソコンは一気に普及のピッチを上げていくとともに、Windowsの新バージョンの発売日には「午前0時販売開始」が恒例化していく。



 さらに、95年は日本では「インターネット元年」とも呼ばれ、その後のICTの素地ができた年となった。なお、阪神・淡路大震災、地下鉄サリン事件など、日本の安全神話が揺らぐ出来事があった年でもある。



 この95年以降、インテル社のCPU(中央演算装置=計算を受け持つパソコンの脳にあたる部分)に、OSとしてWindowsが搭載されたパソコンが市場を席巻することになる。ICT業界において、インテルとマイクロソフトが圧倒的に優位な立場となり、WindowsとIntelからの造語「Wintel(ウィンテル)」と称された。



 「Wintel」以前は、メーンフレームと呼ばれる大型コンピューターが集中して計算や電算処理をしており、ネットワークでメーンフレームにつながれた端末機器で入出力を行うことが主流だった。ネットワークといっても、インターネットが普及する前だったので、自前でネットワークを確保できる大企業や行政機関、研究機関などがその恩恵に浴するのみであった。



 メーンフレームのモデルは、日本電気・富士通・日立・IBMといった会社が、1社(系列会社などとも連携して)でハードウエアからOS、アプリケーションまで丸ごと納入し、サーバーの維持管理、保守まで行うモデルである。



 この四半世紀以上の間に、「メーンフレームの時代」「Wintelの時代」そして「クラウド化・ソーシャル化・モバイル化の時代」と時代が変遷してきた。冒頭で取り上げたiPhoneやiPadは、長らく続いた「Wintelの時代」から新しい時代の幕を開いたデバイスであり、新時代の全ての要素を持った象徴でもある。



 次回はこの時代変遷をふまえ、地場企業や地域でのICT利用について掘り下げてみたい。
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