小学5校廃校の多久市 課題を考える


 佐賀県多久市では平成25年4月より小中一貫教育が始まります。市内3校の中学校区毎に其々の小学校を統廃合し、併せて中学校との一貫教育とします。多久市報では以下の様に紹介されました。「現在の小学校6年間と中学校3年間の9年間を通し、その前期として学習や生活の基礎・基礎確立期(旧小1~小4)、中期として小・中学校の内容充実期(旧小5~中1)、後期として一貫教育成熟期(旧中2~中3)と位置付け、小・中の連携の中で子ども達の学力の向上や生活指導の充実を行う。また、学校環境の変化に伴う課題や新しい教育カリキュラムにも取り組む。」



多久市 小中学校の再編計画

 激変する時代に翻弄されることなく、将来日本で活躍したり海外へ雄飛する人材の礎となす学校教育になる事を私も期待します。(計画表は多久市市報平成21年9月号を参照)



 一方で統廃合に伴って起きる課題もあります。つまり新システムの導入によって廃校となる地域の課題を如何に解決するか、この案件が提出された時から市議会での大きな論点でした。廃校となるのは西多久町の西部小、南多久町の南部小、東多久町の納所小、北多久町の緑ヶ丘小と北部小と一度に五つの学校が廃校となります。この地域住民からは、児童生徒の通学が心配。小学校が無くなったら市域の拠り所が無くなる。行事も無くなって地域が寂しくなる等の心情が出されていました。



多久市 小中学校の再編導入日程


 勿論、行政や教育委員会など本件に関係する部門はこの重くて喫緊の課題についての検討も当然進められています。多久市市報平成23年5月号によれば「各中学校区に企画部会・教頭部会・事務部会・教務主任部会・PTA部会を立ち上げ、校名・校章・小中連携行事など、様々な事柄について市教委・学校・地元の代表者等での協議をスタートさせます。」とあります。更に現在の小学校区毎に課題解決の為に地元委員会も立ちあげられ、スクールバスの導入等を協議する通学対策検討委員会や廃校後の地域活性化として利活用を協議する跡地・跡施設活用検討委員会が具体的な検討を進めると云うことになっています。(表2は多久市市報平成21年9月号を参照)



 一部の地元委員会からは既に其の地域の廃校利活用に関しての提言が市へ行われたとの広報(多久市市報平成23年4月号)もありました。その提言には、「文教の里・多久」に相応しい教育文化の新しい拠点となること。具体的には(1)現在の市立図書館を廃校校舎へ移転させる。(2)社会福祉会館にある児童館を廃校校舎へ移転させる。(3)子供から大人までが一緒に集う場所として跡施設を提供する。(4)県央を活かした会議施設を誘致する。(5)付帯意見として地元民や市民が必要とする施設にする為に現施設からの改修・充実・工夫をすること。等がありました。その他地元委員会における検討内容は市報などで広報されていない様なので判りませんが、其々に検討が進んでいるものと思います。



 以上、小中一貫による廃校の跡地・跡施設の利活用検討をご紹介しましたが、委員として任命された方々や担当部門のご苦労には頭が下がります。ただ見方を変えてこの課題を眺めてみると次のことが大切と思います。



 一点目は、市全体としての利活用ビジョンをまず明確にすると云うこと。つまり一度に5つの小学校が廃校になる訳です。各地域は同じ様な校舎・体育館・プール・グラウンド等を持っています。それを其々の地元で検討したら、再度市全体として施設間の整合性や持続性、予算化等の課題が出て来ます。



 二点目は、廃校を抱える地域には既存の公共施設(町公民館や区公民館など)があり、また多久駅前再開発の一環で新しい施設建設も進められていますので、市全体として施設重複の有無や投下した予算効果等を効率的に統括することが大切です。



 三点目に、少子高齢化への対応・市内産業の活性化・市民/行政/議会との協働のまちづくり等を謳った『市総合計画』の具現化をこの廃校利活用を通してどの様に推し進めているかを見える様にすることです。一部進捗の広報だけではなく、各地元の検討や市全体がどの様に進んでいるのか広く一般市民に伝える必要があります。



 私はウォーキングコースとしてこの廃校となる地域を訪れました。そこには永年育んで来られた地元の思いが息づいているのを感じました。一方でこの大きな施設の利活用を地元の方々だけにお願いして良いのだろうかとの思いも生まれてきました。 



廃校となる小学校


 小中一貫教育の是非を質疑し、最終的に市議会で可決され、新校舎の建設も始まりました。来春の開校に向けての取り組みも順次進められています。しかし、廃校の跡地・跡施設の利活用検討は地域での話し合いも勿論大切な事ではありますが、市全体として今後のまちづくりを如何にするのかと云う大きな視点で行政/議会/市民が同じベクトルを共有し、少子高齢化、産業活性化・協働をテーマとして推進して欲しいと望んでいます。(写真は廃校となる小学校)
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